耳が聞こえない母は
夜中の授乳の際は
こんな風に過ごしていた
祖父が母の近くに寝て
お互いの手首に紐を付けて
私が泣いたら引っ張って起こす
私が授乳が必要な間は
そうやって
協力して過ごした
母はその話をいつも嬉しそうに話す
『おじいちゃんは優しい人だったよ』
※祖母は早朝市場に行く仕事があったので
祖父がその役割を担っていた
その話を聞くたびに、わたしは優しい世界で大事に育ててられたんだなぁと
しみじみ思う
耳が聞こえないことで知る
優しい世界が沢山あることを
母もわたしも知っている